中古ショップの棚で「PHANTOM 5.5」と「PHANTOM X 5.5」が並んでいるのを見て、どちらも同じようなものだろうと思ったことはないでしょうか。ところが公式のスペック表を1本ずつ数えてみると、同じ「.5」でも2022年と2023年以降ではまったく違うネックが付いていることが分かります。名前だけで選ぶと、狙っていたのとは逆の性格のパターが手元に届く。この記事では、スコッティキャメロンの型番の読み方を公式スペック表で検算し、当サイトのパターDBの数値と合わせて選び方を整理します。
この記事でわかること
- スコッティキャメロンの型番「.2」「.5」「OC」が、ネックとトウフローの印だということ
- ファントム 5・5 OC・5.2・5.5 は同じヘッドで、違うのはネックとトウフローだけだということ
- 同じ「.5」でも、2022年のファントムXと2023年以降では意味が変わっていること
- 公式が使っている7つのトウフロー表記と、当サイトの4分類の対応
- 早見表に出している34本と、タイプ別の代表5本

当DBのスコッティキャメロンは48本——早見表はそのうち34本から
当サイトのパターDBで brand=Scotty Cameron を抽出すると、2026年9月時点で48本が並びます。ブランド別のスポーク記事としては、当サイトで初めてスコッティキャメロンを正面から扱う記事になります。
最初にお断りしておくと、この48本もスコッティキャメロンの全ラインナップではありません。当DBはヘッド形状(ブレード/ハーフマレット/マレット)を必須の列として持っていて、公式が自分の言葉で形を名乗っているモデルだけを登録しているためです。そして下の早見表に出しているのは、48本のうち34本です。残る14本(うち3本は長さ違いのロングデザイン版)は形の確認に時間がかかって後から登録したぶんで、早見表の中古相場を調べた2026年9月の時点ではまだDBに入っておらず、相場を確かめられていません。相場が揃った時点で早見表に加えます。型番の読み方の検算は48本すべてで行い、早見表とカードには34本を出す——この記事はその建て付けで書いています。
5つのシリーズと年——2021年のチャンピオンズチョイスから2026年のファントムまで
34本の内訳は、シリーズと発売年で見るとこうなります。
- Phantom(2026年)12本——3.2/5/5 OC/5.2/5.5/7/7.2/7.5/9R/9.2R/11R OC/12
- Studio Style(2025年)10本——ニューポート系5本、スクエアバック系2本、ファストバック系2本、カタリナ1本
- Super Select(2023年)8本——ニューポート系4本、スクエアバック 2、デルマー、ファストバック 1.5、GOLO 6
- Phantom X(2022年)3本——5/7/9
- Champions Choice(2021年)1本——フローバック5.5
形状で数えるとブレード10本・ハーフマレット15本・マレット9本。ネックはプラミング系15本・シングルベント系10本・ショートスラント6本・センターシャフト2本・ダブルベンド1本の5種類です。長さは34本すべてが34インチで、ロフトもファントム12の1本を除いて共通でした。つまり、この34本を見比べるときに長さとロフトは判断材料になりません。効いてくるのは形とネック、そしてこのあと説明するトウフローです。
当サイトの3軸スコア(寛容性・コスパ・操作性)がどういうルールで決まっているかは、評価基準を公開した記事にまとめてあります。この記事の★はすべて、そのルールから機械的に出た値をそのまま転記しています。
スコッティキャメロン 34本 早見表
シリーズごとに、型番の順で34本を並べました。形状・寛容性・操作性は当DBの値、トウフローとネックは公式スペック表の表記をそのまま写しています。中古相場の欄は、当サイトの手順(国内中古ショップ在庫の実測)で中央値を出せた行にだけ額が入ります。欄が「—」になっている行は、実測で相場を確かめられていないものです。
| モデル(シリーズ・年) | 形状 | 公式トウフロー | ネック(公式表記) | 寛容性 | 操作性 | 中古相場 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3.2(Phantom・2026年) | ハーフマレット | ミディアム | プラミング | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | — |
| 5(Phantom・2026年) | ハーフマレット | ミニマム | ミッドシングルベント | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | — |
| 5 OC(Phantom・2026年) | ハーフマレット | ニアゼロ | OC ストレート | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | — |
| 5.2(Phantom・2026年) | ハーフマレット | ミディアム | プラミング | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ¥75,150 |
| 5.5(Phantom・2026年) | ハーフマレット | ニアマキシマム | ジェット | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | — |
| 7(Phantom・2026年) | マレット | ミニマム | ダブルベント | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | — |
| 7.2(Phantom・2026年) | マレット | ミディアム | プラミング | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | — |
| 7.5(Phantom・2026年) | マレット | ニアマキシマム | ジェット | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | — |
| 9R(Phantom・2026年) | マレット | ミニマム | ミッドシングルベント | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | — |
| 9.2R(Phantom・2026年) | マレット | ミディアム | プラミング | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ¥75,880 |
| 11R OC(Phantom・2026年) | マレット | ニアゼロ | OC ストレート | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | — |
| 12(Phantom・2026年) | マレット | ミニマム | ミッドシングルベント | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | — |
| Newport(Studio Style・2025年) | ブレード | ミディアム | アイビーム プラミング | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ¥61,880※ |
| Newport Plus(Studio Style・2025年) | ブレード | ミディアム | アイビーム プラミング | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ¥75,700※ |
| Newport 2(Studio Style・2025年) | ブレード | ミディアム | アイビーム プラミング | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ¥73,300 |
| Newport 2 Plus(Studio Style・2025年) | ブレード | ミディアム | アイビーム プラミング | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ¥65,890※ |
| Newport 2.5 Plus(Studio Style・2025年) | ブレード | ニアマキシマム | アイビーム ジェット | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ¥68,880※ |
| Squareback(Studio Style・2025年) | ハーフマレット | ニアミニマム | ミッドシングルベント | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ¥61,880※ |
| Squareback 2(Studio Style・2025年) | ハーフマレット | ミディアム | アイビーム プラミング | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ¥60,880※ |
| Fastback(Studio Style・2025年) | ハーフマレット | ミニマム | ミッドシングルベント | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ¥72,790 |
| Fastback 1.5(Studio Style・2025年) | ハーフマレット | ニアマキシマム | アイビーム ジェット | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ¥63,890※ |
| Catalina(Studio Style・2025年) | ブレード | ニアミニマム | ミッドシングルベント | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ¥61,700※ |
| Newport(Super Select・2023年) | ブレード | ミディアム | アイビーム プラミング | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ¥45,890※ |
| Newport+(Super Select・2023年) | ブレード | ミディアム | アイビーム プラミング | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ¥52,385 |
| Newport 2(Super Select・2023年) | ブレード | ミディアム | アイビーム プラミング | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ¥43,380※ |
| Newport 2+(Super Select・2023年) | ブレード | ミディアム | アイビーム プラミング | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | ¥43,790※ |
| Squareback 2(Super Select・2023年) | ハーフマレット | ミディアム | アイビーム プラミング | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ¥45,890※ |
| Del Mar(Super Select・2023年) | ハーフマレット | ミッドハイ | フロー | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ¥43,600※ |
| Fastback 1.5(Super Select・2023年) | ハーフマレット | ニアマキシマム | アイビーム ジェット | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ¥41,889※ |
| GOLO 6(Super Select・2023年) | ハーフマレット | ニアミニマム | ミッドベントシャフト | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ¥50,880 |
| 5(Phantom X・2022年) | ハーフマレット | ミニマム | ミッドベント | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ¥37,880※ |
| 7(Phantom X・2022年) | マレット | ミニマム | ミッドベント | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | ¥46,990※ |
| 9(Phantom X・2022年) | マレット | ミニマム | ミッドベント | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | ¥45,880※ |
| Flowback 5.5(Champions Choice・2021年) | ハーフマレット | ニア ミディアム | スラントバック | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | — |
(「※」は美品=AB以上の出物が3本に満たず、在庫にある全ランクの完品から採った中央値)
この表をしばらく眺めていると、あることに気づきます。ファントムの列では、同じ番号のモデルが何本も並んでいるのです。5・5 OC・5.2・5.5。7・7.2・7.5。9R・9.2R。形状の欄はどれも同じなのに、寛容性と操作性の★は上下に散らばっています。この散らばりを作っているのがトウフローで、その差が型番の後ろの印に出ている——これがこの記事の骨です。
新品の値段が表にない理由
早見表には新品定価の列を置いていません。スコッティキャメロンの日本公式サイトは、パターの価格をオープン価格として扱っていて、定価という形の数字を公表していないからです。当DBの新品定価の列も、スコッティの行は空のままになっています。
これは表を作るうえでは不便ですが、読者にとっては実はそれほど困りません。値段の上下で性能を推測する、という選び方がそもそも成立しないブランドだからです。そのぶん、この記事は当DBが列として持っているもの——形・ネック・トウフローと、そこから決まる★だけで話を進めます。素材・インサート・フェースの溝・ヘッド重量は当DBが列を持っていないので、ここでは扱いません。中古で買う場合も、額そのものより状態ランクと、部品が欠けていない完品かどうかを先に見るのが順番です。
スコッティキャメロン パターの選び方は「トウフロー」から始める
スコッティキャメロンのパターを選ぶとき、最初に見るべき欄は形でもヘッドの大きさでもなく、公式スペック表の「トウフロー」です。理由は単純で、この欄だけがモデルごとにきれいに書き分けられていて、しかもストロークとの相性に直結するからです。
トウフローとは——ヘッドの先が下を向く量のこと
トウフロー(トーハングとも呼ばれます)は、シャフトを水平に支えたときにヘッドのトウ側(先端側)がどれだけ下を向くかを表す言葉です。下を向く量が大きいほど、ストロークの中でフェースが開いて閉じる動きが大きくなります。逆に下を向かず真横を向いたままなら、フェースの向きは変わりにくい。
一般的な目安として、パターを引いたときにヘッドが体の内側へ弧を描く人ほどトウフローが多いモデルが合い、ヘッドをまっすぐ引いて出す人ほどトウフローが少ないモデルが合う、と言われます。これはあくまで目安で、実際にはグリップの握り方や構えの前傾でも変わります。ただ、候補を34本から数本に絞る段階では、この目安で十分に役に立ちます。自分のストロークがどちらなのか分からない場合は、先に型を判定してから戻ってくるのが近道です。
公式は7つの言葉でトウフローを書き分けている
スコッティキャメロンの公式スペック表を読むと、トウフローの欄には次の7つの言葉が使われていました。当DBはこれを4つの値に畳んで持っています。
| 公式トウフロー | 当DBの分類 | 公式ネック表記(48本で出たもの) |
|---|---|---|
| ニアゼロ | フェースバランス | OC ストレート |
| ミニマム | フェースバランス | ミッドベント/ミッドシングルベント/ダブルベント/ストレートシャフト |
| ニアミニマム | クォーター | スラントネック/ローベント/ミッドベントシャフト/ミッドシングルベント |
| ニア ミディアム | クォーター | スラントバック |
| ミディアム | ハーフ | プラミング/アイビーム プラミング/プランビング |
| ミッドハイ | ハーフ | フロー |
| ニアマキシマム | フル | ジェット/アイビーム ジェット |
ひとつ正直に書いておきます。公式が「7段階でこの順です」と宣言している場所は、私が調べたかぎり見つかりませんでした。ただし2026年のファントムの商品説明では、同じヘッドの4本を「限りなくゼロに近いロートルク性能」「最小限のトウフロー」「ほどよいトウフロー」「最大限のトウフロー」と書き分けていて、少なくともこの4段階の順序は公式の言葉から読み取れます。残る3つ(ニアミニマム・ニア ミディアム・ミッドハイ)をどこに挟むかは、言葉の意味と当DBが持っている4分類から当サイトが判断しました。この記事でこのあと「.5 のほうがトウフローが多い」と書くとき、その「多い」はこの並びに寄りかかっています。そこだけ含んで読んでください。
ネックの形だけでは決まらない——同じ名前のネックが2段階に出る
「ネックの形を見ればトウフローが分かる」と書かれている記事をよく見かけます。実際、パターのネック形状とフェースの開閉には物理的なつながりがありますし、当サイトでもネックの解説記事を用意しています。
ただ、スコッティキャメロンの公式48本を1本ずつ数えてみると、ネックの名前だけでは決まらない例が出てきました。「ミッドシングルベント」というネックです。
- ミニマムに出るミッドシングルベント——ファントム 5・9R・12、スタジオスタイル ファストバック
- ニアミニマムに出るミッドシングルベント——スタジオスタイル スクエアバック、スタジオスタイル カタリナ
同じ名前のネックが、公式の表記で2段階にまたがっているわけです。当DBの分類に落とすと、前者はフェースバランス、後者はクォーター。フェースの開閉のしかたが変わるので、これは無視できる差ではありません。
ここから導ける読者への実用は、ひとつだけです。ネックの形を目で見て判断せず、公式スペック表のトウフロー欄を読む。当サイトが取得した公式スペック表48本は、48本ともトウフローの欄が埋まっていました。せっかく公表されているものを、見た目からの推測で上書きする理由はありません。フェースバランスかどうかの見分け方そのものは、別の記事で詳しく扱っています。
ファントム 5・5 OC・5.2・5.5 の違いは、ネックとトウフローだけ
ここからが本題です。2026年のファントムには、番号が同じで印だけが違うモデルが並んでいます。いちばん分かりやすいのが5番台の4本です。
同じヘッドに4つのネック——5 OC/5/5.2/5.5
| モデル | 公式の形の説明 | 公式ネック | 公式トウフロー | 当DBの分類 | 寛容性 | 操作性 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ファントム 5 OC | コンパクトなモダンマレット | OC ストレート | ニアゼロ | フェースバランス | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
| ファントム 5 | コンパクトなモダンマレット | ミッドシングルベント | ミニマム | フェースバランス | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
| ファントム 5.2 | コンパクトなモダンマレット | プラミング | ミディアム | ハーフ | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ |
| ファントム 5.5 | コンパクトなモダンマレット | ジェット | ニアマキシマム | フル | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ |
公式の形の説明は、4本とも一字一句同じ「コンパクトなモダンマレット」です。ヘッド形状もロフトも長さも同じ。当DBの列と公式スペック表で確かめられる範囲では、違うのはネックとトウフローだけです(ヘッド重量や素材は当DBも公式スペック表も列を持っていないので、物理的に同一のヘッドかどうかまでは確かめていません)。読み方としては、1つのヘッドにネックを差し替えた4バリエーションとして並べるのが近い形になります。
同じ構造は7番台(7/7.2/7.5=ウィングバックマレット)と9R番台(9R/9.2R=モダンマレット)でも確認できました。番号が同じなら、公式の形の説明まで同じ文になっています。ファントムの番号はヘッドの種類を表す数字で、その後ろの印がネックとトウフローを表す——2026年のラインに限れば、この読み方がそのまま当てはまります。
なお「5 OC」の OC は、センターシャフト(シャフトがヘッドの中央に刺さる形)を指しています。センターシャフトは見た目にくせがあるぶん、構えたときの狙いやすさで好き嫌いがはっきり分かれる形です。別記事で詳しく書いています。
型番の読み方——「.2」「.5」「OC」を公式48本で確かめた
5番台だけを見て規則を語るのは危ういので、公式スペック表48本(長さ違いの3本を除いた45本)で印ごとに数え直しました。結果がこちらです。
| 型番の印 | 本数 | 公式ネック × トウフロー | 一致 |
|---|---|---|---|
| 「.2」 | 4本(3.2/5.2/7.2/9.2R・2026年のファントムだけ) | 4本ともプラミング × ミディアム | 4/4 |
| 「.5」(2023〜2026年) | 7本 | 7本とも(アイビーム)ジェット × ニアマキシマム | 7/7 |
| 「.5」(2021〜2022年) | 5本 | スラントネック・ローベント × ニアミニマム(4本)/スラントバック × ニア ミディアム(1本) | ニアマキシマムは0/5 |
| 「OC」 | 2本(5 OC/11R OC) | 2本とも OC ストレート × ニアゼロ | 2/2 |
| 2026年ファントムの無印番号 | 4本(5/7/9R/12) | 4本ともミニマム(ネックはミッドシングルベント3・ダブルベント1) | 4/4 |
「.2」と「OC」は、数えたかぎり例外がありませんでした。「.2」を見たらプラミングネックのミディアム、「OC」を見たらセンターシャフトのニアゼロ。どちらも2026年のファントムにしか付いていない印なので、逆に言えばこの印が付いていたら2026年のモデルだと分かるという読み方もできます。
問題は「.5」です。ここだけ、年で話が変わります。
ブランドをまたいだ型名の読み方——オデッセイやPINGが型名に埋め込んでいる記号——については、この記事の兄弟にあたる記事で整理しています。同じ「型名を分解する」作業をオデッセイとPINGで行ったものなので、併せて読むと型番アレルギーがだいぶ減るはずです。
当サイトの★では、5.2 と 5.5 を区別できない
ここは限界として正直に書いておきます。当サイトの寛容性・操作性のスコアはヘッド形状 × トーハングの4分類から決まるルールになっていて、ハーフとフルを同じ点数として扱っています。その結果、ファントム 5.2 と 5.5 はどちらも寛容性★2・操作性★4で同点になります。7.2 と 7.5 も同じく同点です。
早見表を見ると、この2本は★の欄が横並びで区別がつきません。違いが言えるのは公式のトウフローの段階だけ——5.2 はミディアム、5.5 はニアマキシマム。弧の大きいストロークで、フェースをしっかり返して打ちたい人ほど 5.5 側へ、弧はあるが返しすぎたくない人は 5.2 側へ、という読み方になります。
同じ理由で、ファントム 5 と 5 OC も★が同点です。この2本の違いはネックの形——シングルベントかセンターシャフトか——で、構えたときの見え方と狙いの合わせ方が変わります。★が同点のペアに当たったら、公式のネックとトウフローの欄まで降りる。これが当DBの正しい使い方です。

同じ「.5」でも、2022年と2023年以降では別物だった
型番の印のなかで、唯一きれいに割り切れなかったのが「.5」でした。公式スペック表で12本を年順に並べると、はっきり2つの塊に分かれます。
2022年のファントムXの「.5」は、無印より1段だけ多い
2022年のファントムXには 5.5/7.5/9.5/11.5 の4本があり、公式のネック表記はスラントネックかローベント、トウフローはいずれもニアミニマムでした。同じ番号の無印(5/7/9/11)はすべてミッドベントのミニマムなので、無印より1段だけトウフローが多いという関係になります。
この4本は、当DBの早見表には出てきません。公式が自分の言葉で形を名乗っていないため、ヘッド形状の列を埋められず登録を保留しているからです。カードにも表にも出しませんが、型番の読み方を語るうえでは数に入れないと結論が変わってしまうので、この節だけで扱っています。
2021年のチャンピオンズチョイス フローバック5.5 も同じ側で、スラントバックのニア ミディアム。ニアマキシマムではありません。
2023年以降の「.5」は最大級(ジェット)
一方、2023年のスーパーセレクト以降の「.5」は性格が違います。スーパーセレクト ファストバック 1.5/GOLO 6.5/ニューポート 2.5+、スタジオスタイル ファストバック 1.5/ニューポート 2.5 Plus、ファントム 5.5/7.5——この7本はすべてジェット系のネックで、トウフローはニアマキシマムでした。7本中7本、例外なしです。
つまり「.5」という印の意味は、2023年を境に「1段多い」から「最大級」へ変わっています。2022年の 5.5 を探していて2026年の 5.5 を手に入れると、想定より大きくフェースが開いて閉じるパターが届くことになります。
では年をまたいで共通して言えることは何もないのかというと、ひとつだけあります。同じ番号の無印と比べたとき、.5 のほうがトウフローが多い。この関係は、対が組める9組すべてで成り立っていました(ファントムX 5→5.5、7→7.5、9→9.5、11→11.5、スーパーセレクト GOLO 6→6.5、ニューポート 2+→2.5+、スタジオスタイル ニューポート 2 Plus→2.5 Plus、ファントム 5→5.5、7→7.5)。ただし前の節で書いたとおり、この「多い」は当サイトが決めた並び順に寄りかかった言い方です。
中古で旧年式を探すときは、名前ではなく年とトウフロー欄で
ここまでをひとつの行動に落とすと、こうなります。
中古で「.5」の付いたスコッティキャメロンを探すときは、モデル名だけで判断せず、発売年と公式のトウフロー欄を確かめる。同じ「5.5」という文字列が、年によって違うネックを指しているからです。中古ショップの商品ページには発売年が書かれていないこともありますが、ヘッドの形と刻印でシリーズは判別できます。ファントムXは2022年、ファントムは2026年です。
これは、オデッセイの「#7」が年によって形すら一定しない、という兄弟記事で書いた教訓と同じ構図です。型名は便利な略記であって、スペックそのものではない。略記が指す中身は、メーカーの都合で書き換わるということです。
なお、2022年のファントムXから2024年・2026年のファントムまで、どの型番が消えてどれが増えたのか、トウフローが何段階に広がったのかは、家系ごとに並べ直した記事で公式スペックからまとめています。
タイプ別の代表5本と、名前が同じモデルの見分け方
ここからは実際に手に取る話に移ります。まず、名前が同じで年だけ違うモデルをどう考えるか。そのあとで、形とトウフローを散らした代表5本を紹介します。
スタジオスタイルとスーパーセレクトの同名6組は、当DBの列では区別できない
早見表を上下に見比べると、2023年のスーパーセレクトと2025年のスタジオスタイルに、同じ名前のモデルが並んでいることに気づきます。ニューポート、ニューポート+(Plus)、ニューポート 2、ニューポート 2+(2 Plus)、スクエアバック 2、ファストバック 1.5 の6組です。
この6組は、当DBが持っている列——形状・トーハング・ネック・寛容性・操作性・長さ——が6組とも全部同じでした。ひとつも違いません。
ここで気をつけたいのは、「列が同じ」と「同じパターだ」は違うということです。当DBは素材・インサート・フェースの溝・仕上げ・ヘッド重量・打感を列として持っていません。スタジオスタイルは新しいフェースインサートとフェースミーリングを採用したとメーカーが説明していますし、レッドチェリードットのような外観の違いもあります。当DBの列で区別できない、と言えるところまでが、データで言える限界です。
それでも読者にとって意味はあります。形とトウフローで選んだ結果が「ニューポート 2」だったなら、探す対象は1本ではなく2本あるということだからです。現行だけに絞らず、同じ名前の旧年式も選択肢に入れてよい。どちらを取るかは、状態と在庫とあなたの好み次第です。
もうひとつ、ファントムX(2022年)とファントム(2026年)の関係も見ておきました。5→5 と 9→9R は当DBの列がすべて同じ。当DBの列で違うのは 7 のネックだけでした(シングルベント→ダブルベンド)。トウフローはどちらもミニマムなので、★は動いていません。ただし公式のネック表記は、5 と 9R でも「ミッドベント」から「ミッドシングルベント」へ書き換わっています(早見表で見比べられます)。当DBが同じ値に畳んでいるだけで、公式の言葉づかいまで同じだったわけではありません。
形とトウフローを散らした代表5本
34本のなかから、形(ブレード・ハーフマレット・マレット)の3種類と、当DBのトーハング4分類(フェースバランス・クォーター・ハーフ・フル)がすべて入るように5本を選びました。「おすすめランキング」ではなく、早見表を読むための座標軸だと思ってください。それぞれ、なぜその★になるのかをルールで説明します。
■ 弧を描くストローク向けの3本

Scotty Cameron / Phantom(2026年)
5.2
寛容性 ★★☆☆☆ / コスパ ★☆☆☆☆ / 操作性 ★★★★☆
ハーフマレット × ハーフトーハングで、寛容性★2・操作性★4。ヘッドが中くらいでフェースの開閉もそれなりにあるため、ミスへの助けよりフェースの向きを自分で合わせにいける側に振れた組み合わせです。この記事の骨である「.2」の代表で、公式ネックはプラミング、トウフローはミディアム。公式は「コンパクトなモダンマレットに、ほどよいトウフロー」と説明しています。同じヘッドの 5・5 OC・5.5 と見比べると、ちょうど真ん中の性格に当たります。DBの初心者向き判定はFALSEです。

Scotty Cameron / Studio Style(2025年)
Fastback 1.5
寛容性 ★★☆☆☆ / コスパ ★☆☆☆☆ / 操作性 ★★★★☆
ハーフマレット × フルトーハングで、寛容性★2・操作性★4。当DBの分類ではトウフローが最も大きい側に入ります。公式ネックはアイビーム ジェット、トウフローはニアマキシマム——2023年以降の「.5」の代表がこの1本です。公式は「コンパクトマレットのパフォーマンスとブレードのフィーリングを求めるプレーヤーのために、新たなデザインのミッドマレットパターとして復活」と説明しています。はっきり弧を描いて振る人が、ブレードの小ささは避けたいときに行き着く位置です。2023年のスーパーセレクトにも同じ名前があり、当DBの列はすべて同じです。DBの初心者向き判定はFALSEです。

Scotty Cameron / Studio Style(2025年)
Newport 2
寛容性 ★☆☆☆☆ / コスパ ★☆☆☆☆ / 操作性 ★★★★★
ブレード × ハーフトーハングで、寛容性★1・操作性★5。当サイトのルールでは操作性が最大になる組み合わせで、その裏返しとして寛容性は最小です。ヘッドが小さく慣性モーメントが小さいぶん芯を外したときの助けは少なく、かわりにフェースの向きを自分で作りにいけます。当DBのスコッティのブレードは10本ありますが、カタリナを除く9本がこのニューポート系です。公式ネックはアイビーム プラミング、トウフローはミディアム。2023年のスーパーセレクトにも同名があり、当DBの列はすべて同じです。形とトウフローで選んだ結果がこの1本なら、探す対象は2つあると考えてください。DBの初心者向き判定はFALSEです。
■ まっすぐ引く人の1本と、弧が小さい人の1本

Scotty Cameron / Phantom X(2022年)
7
寛容性 ★★★★★ / コスパ ★☆☆☆☆ / 操作性 ★☆☆☆☆
マレット × フェースバランスで、寛容性★5・操作性★1。当サイトのルールで寛容性が最大になる組み合わせです。ヘッドが大きく慣性モーメントが最大、フェースの開閉も最小なので、芯を外してもフェースの向きが残りやすい。公式ネックはミッドベント、トウフローはミニマムです。公式は、ツアーで要望の多い角ばったウイングバックマレットへとアップデートしたモデルだと紹介しています。操作性★1はその裏返しで、フェースを返して打ち分けるタイプではありません。2026年のファントム 7 とは、当DBの列ではネックだけが違います(シングルベント→ダブルベンド)。DBの初心者向き判定はTRUEです。

Scotty Cameron / Studio Style(2025年)
Catalina
寛容性 ★☆☆☆☆ / コスパ ★☆☆☆☆ / 操作性 ★★★★☆
ブレード × クォータートーハングで、寛容性★1・操作性★4。同じブレードでもハーフトーハングのニューポート 2(操作性★5)よりフェースの開閉が1段小さい組み合わせで、弧は描くが大きくは返したくない人の位置です。公式ネックはミッドシングルベント、トウフローはニアミニマム——前の章で書いた「同じミッドシングルベントでも2段階に出る」ほうの側で、ネックの名前からは読み違える1本です。当DBの列では、筆者が使っている PING PLD Milled Anser(PI-035)とネックだけが違う1本でもあります。DBの初心者向き判定はFALSEです。
この5本で、形は3種類すべて、公式トウフローは4段階(ミニマム/ニアミニマム/ミディアム/ニアマキシマム)をカバーしています。ここに無い性格が欲しければ、早見表で同じ列の行を探せば見つかるという作りです。ハーフマレットという形そのものが気になった方は、形状別の解説も用意しています。
私のエースにいちばん近いスコッティは、カタリナでした
最後に、ひとつだけ私自身の話を混ぜます。私が現在使っているパターはPING PLD Milled Anser(2022年・ブラック・削り出し)で、当DBでは PI-035 の行に当たります。
この PI-035 と34本のスコッティを、形状・トーハング・ネック・寛容性★・操作性★・長さの6列で機械的に突き合わせてみたところ、1列しか違わないモデルが1本だけ見つかりました。スタジオスタイル カタリナです。形状はどちらもブレード、トーハングはどちらもクォーター、長さはどちらも34インチ、寛容性★1・操作性★4も同じ。違うのはネックだけで、PI-035 がクランクホーゼル、カタリナが公式表記のミッドシングルベントでした。この6列の外(ロフト・素材・打感・値段)は比べていません。
私はスコッティキャメロンを所有したことも試打したこともないので、打感や転がりについては何も書けません。書けるのは「当DBの列で見るかぎり、いちばん近い場所にいる」という事実だけです(※筆者個人の見方・N=1)。ただ、自分のいまのパターが気に入っていて、それでもスコッティを一度は持ってみたい——という人にとって、列が近いモデルから試すのは遠回りの少ない入り方だと思います。私が使っているモデルの詳細は別記事にまとめてあります。
まとめ:スコッティキャメロンから1本に絞る3つの問い
スコッティキャメロンは、型番の付け方に規則があるブランドでした。「.2」はプラミングのミディアム、「OC」はセンターシャフトのニアゼロ、「.5」は無印より多いトウフロー——ただし「.5」の意味は2023年を境に変わっています。この規則を知っていれば、棚に並んだ型番の羅列がスペックの略記として読めるようになります。
最後に、34本から1本へ絞るための問いを3つ置いておきます。
- ストロークはまっすぐか、弧を描くか。早見表の「公式トウフロー」の列を、当サイトの4段階に読み替えて選びます。まっすぐ引く人=ニアゼロ・ミニマムの行(フェースバランス)/軽く弧を描く人=ニアミニマム・ニア ミディアムの行(クォーター)/弧を描く人=ミディアム・ミッドハイの行(ハーフ)/はっきり大きく弧を描く人=ニアマキシマムの行(フル)。ネックの見た目ではなく、公式のトウフロー欄で確かめてください。
- ミスへの強さと操作性、どちらを取るか。この2つは物理的に両立しません。同じトウフローのなかでは、ヘッドが大きいほど寛容性が上がり、小さいほど操作性が上がります。早見表の★の列は、そのトレードオフをそのまま映したものです。
- 現行の年式か、同じ列の旧年式か。スタジオスタイルとスーパーセレクトには当DBの列が同じ同名モデルが6組あり、ファントムとファントムXにも列の同じペアがあります。ただし「.5」だけは年で中身が変わるので、旧年式を探すときは年とトウフロー欄を必ず確かめてください。
自分のストロークの型がまだはっきりしない、という場合は、先に判定してから早見表に戻ってくるのが近道です。5つの質問に答えるだけで、ストロークタイプ別の候補が出る診断ツールを用意しています。
⚠️ 3軸スコアは、ヘッド形状やトーハングから決まる設計上の指標です。実際の打感・構えやすさ・転がりの相性は人によって異なります。候補をしぼり込んだら、最終的にはゴルフショップの試打やフィッティングで、自分の手とストロークで確かめてください。データは遠回りを減らす地図であって、最後の1本を決めるのはあなた自身です。
ベストスコア86、アベレージ100のアマチュアゴルファー。
身長177cm、体重78kg前後の中肉中背40代ゴルファーです。
2020年にゴルフ開始。
2022年から本格的に練習をするようになったがなかなか上達せずに120前後から変わらず。
試行錯誤しながら、少しずつ上達中。
関東のゴルフ場がメインの月1~2ゴルファーです。











