中古ショップの棚で、同じ「SEVEN」が2本並んでいるのを見たことはないでしょうか。片方は真っ黒、もう片方は白い線が3本。値札はどちらも同じくらいで、店員に聞くと「中身は同じですよ」と言われる。じゃあ何が違うのか分からないまま、その日は買わずに帰った——2020年のオデッセイは、そういう買い方をさせる年でした。この記事では、2020年に出たオデッセイのパターを当サイトのDBから全件洗い出し、2つのラインの違いが結局どこにあるのかを形状・ネック・3軸スコアで機械的に整理します。
この記事でわかること
- 2020年のオデッセイは Stroke Lab Black と Triple Track の2ラインしか無かった
- 同じ名前のヘッドが6組、両ラインに並走していて、DB上のスペックは一致している
- だから2020年の選択は「3本線が要るか要らないか」にほぼ還元できる
- 2020年 全24モデルの早見表(形状・ネック・トーハング・3軸スコア・価格)
- この年の中古で本当に効いてくるのは値段ではなく「状態」だという実測結果

2020年のオデッセイは、ラインが2つしかなかった
当サイトのパターDBで brand=Odyssey かつ発売年2020 を抽出すると、24本が並びます。そのシリーズ内訳はStroke Lab Black が15本・Triple Track が9本。この2つだけです。
これは前後の年と比べると、かなり特殊な並びです。翌2021年は4シリーズ、2022年は5シリーズ、2023年以降は6〜10シリーズに散っていきます。シリーズが2本立てで済んだ年は、当DBでは2020年だけ。読者から見れば、選択肢が構造的に二択へ畳まれている年ということになります。
中身は同じで、違うのは「構えたときに何が見えるか」
ではその二択は何の二択なのか。DBのシリーズ特性を突き合わせると、答えは拍子抜けするほど単純でした。Stroke Lab Black と Triple Track は、インサートもシャフトも同じです。どちらもマイクロヒンジ系のインサートを積み、カーボンとスチールを組み合わせた Stroke Lab 系のシャフトを使っています。
違うのは仕上げとアライメントだけ。Stroke Lab Black はヘッドをオールブラックにまとめた見た目重視のラインで、Triple Track は白い3本線をトップに引いたアライメント重視のラインです。3本線のほうはボール側のマーキングと線を揃えて構える設計思想から来ています。
つまり2020年の二択は、性能の二択ではなく「構えたときに視界に何があるか」の二択だったわけです。
同じ名前が両方にある——SEVEN も DOUBLE WIDE も TEN も
その証拠がはっきり出るのが、両ラインに同じ名前のヘッドが6組並走しているという事実です。DBで機械照合すると、6組ともヘッド形状・ネック形状・トーハング・寛容性スコア・操作性スコアがすべて一致していました。
| ヘッド名 | Stroke Lab Black(黒一色) | Triple Track(3本線) | 形状/ネック/トーハング | 寛容性/操作性 |
|---|---|---|---|---|
| SEVEN | SEVEN | SEVEN | ハーフマレット / ダブルベンド / フェースバランス | ★★★★☆ / ★★☆☆☆ |
| SEVEN S | SEVEN S | SEVEN S | ハーフマレット / ショートスラント / クォーター | ★★★☆☆ / ★★★☆☆ |
| DOUBLE WIDE | DOUBLE WIDE | DOUBLE WIDE | ブレード / ダブルベンド / フェースバランス | ★★☆☆☆ / ★★☆☆☆ |
| DOUBLE WIDE FLOW | DOUBLE WIDE FLOW | DOUBLE WIDE FLOW | ブレード / ショートスラント / ハーフ | ★☆☆☆☆ / ★★★★★ |
| TEN | TEN Tour Lined・TEN Short Sightline | TEN | マレット / ダブルベンド / フェースバランス | ★★★★★ / ★☆☆☆☆ |
| TEN S | TEN S Tour Lined・TEN S Short Sightline | TEN S | マレット / ショートスラント / クォーター | ★★★★☆ / ★★☆☆☆ |
棚で「中身は同じですよ」と言われるのは、この意味では正しい説明です。ヘッドの設計が同じなら、寛容性も操作性も同じ値になります。3軸スコアのうち寛容性と操作性は、ヘッド形状とトーハングだけから決まる決定的なルールなので、当然といえば当然の結果でした。
ですから2020年で迷ったときは、まず「3本線が要るか要らないか」を決めてしまうのが速いと思います。ここが決まれば、残りは形状とネックを自分の軌道に合わせるだけになります。アライメントの線が構えの助けになるのか、逆に気が散るのかは人によって割れるところなので、そこを掘り下げた記事も置いてあります。
なお TEN と TEN S だけは、Stroke Lab Black 側に「Tour Lined」「Short Sightline」というサイトライン違いのバリアントが2本ずつあります。ヘッドそのものは同じで、トップに引かれた線の長さが違うだけ。この年は、線の話がモデル名にまで出てきている年だと考えると分かりやすいはずです。

形状で絞る——マレット11本・ブレード7本・ハーフマレット6本
2020年24本の形状内訳はマレット11本・ブレード7本・ハーフマレット6本で、3形状がひととおり揃っています。トーハングはフェースバランス14本・クォーター6本・フル2本・ハーフ2本とDBが持つ4種類が全域。ネック形状はダブルベンド14本・ショートスラント8本・プラマー2本の3種類でした。初心者向き判定は24本中12本がTRUEで、ちょうど半々です。
3軸スコアのうち寛容性と操作性は、このヘッド形状 × トーハングから決まります。誰が計算しても同じ値になる決定的なルールなので、読み方さえ覚えれば棚の前で使えます。
- マレット × フェースバランス=寛容性★5。ヘッドが大きくて慣性モーメントが最大、しかもフェースの開閉が最小。芯を外しても顔の向きが残ります。2020年で寛容性★5がついたのは7本あり、7本ともマレットでした。寛容性は形状に強く従属する、という性格がそのまま出ています。
- ハーフマレット × フェースバランス=寛容性★4。マレットほどの慣性モーメントは無いぶん★5には届きませんが、構えたときの圧迫感が少ない中間解になります。SEVEN 系がここです。
- ブレード × フルトーハング=寛容性★1・操作性★5。ヘッドが小さく、フェースが大きく開いて閉じるので、球筋を自分で作りにいけます。2020年では ONE と 2-BALL BLADE の2本がこの組み合わせ。
ここで押さえておきたいのは、寛容性と操作性は両立しないということです。両方★5のパターは物理的に存在しません。数値の高いほうを選ぶのではなく、自分がどちらを必要としているかで選ぶ——これがこのサイトの3軸スコアの使い方です。ネックとトーハングの関係を掘り下げた記事と、形状別のガイドを置いておきます。
私が中古のStroke Labを選んだときにやったこと(個人の感想)
私自身、Stroke Lab 世代のパターを中古で買って使っていた時期があります。買ったのは Stroke Lab R-Ball S。※これは2019年の Stroke Lab で、この記事の対象である2020年の Stroke Lab Black とは別の年のモデルです。いまは手元にありません(人に譲りました)。
そのとき何をしたかというと、中古コーナーの棚から気になった数本を持ち出して、1本につき5球ずつ、同じラインを転がして勝ち残りを決めるという選び方をしました。カタログのスペックを眺めているより、5球打ったときの「思ったところに出ていくか」のほうが自分には分かりやすかったからです。
※あくまで私1人のやり方で、統計ではありません。判断の主役は、この記事の早見表とスコアのほうに置いてください。ただ候補を2〜3本に絞ったあとの最後の1本は、データではなく自分の手で決めたほうが後悔が少ないとは思っています。
2020年 Odyssey 全24モデル早見表
2020年に登録されている全24モデルを、シリーズ順に並べました。スコアはDBの値をそのまま転記しています。中古欄の「—」は在庫が無いという意味ではありません。当サイトが中古価格の出典として使っている国内中古ショップの在庫を機械で調べたとき、モデル名を同定できなかったか、あるいは中央値を出すのに必要な件数(完品3本)に届かなかったものです。推測の数字を入れるよりは空欄にする、という方針でこうしてあります(詳しくは後述します)。
| シリーズ | モデル | 形状 | ネック | トーハング | 寛容性 | コスパ | 操作性 | 中古 | 新品定価 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Stroke Lab Black | ONE | ブレード | プラマー | フル | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ¥13,890 | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | SEVEN | ハーフマレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ¥15,880 | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | SEVEN S | ハーフマレット | ショートスラント | クォーター | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ¥13,900 | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | DOUBLE WIDE | ブレード | ダブルベンド | フェースバランス | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ¥15,890 | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | DOUBLE WIDE FLOW | ブレード | ショートスラント | ハーフ | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ¥15,900 | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | ROSSIE | マレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | ¥13,390 | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | ROSSIE FLOW | マレット | ショートスラント | クォーター | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ¥13,640 | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | R-LINE ARROW | マレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | ¥14,880 | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | DOUBLE WIDE ARMLOCK | ブレード | ダブルベンド | フェースバランス | ★★☆☆☆ | — | ★★☆☆☆ | — | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | BIG SEVEN ARMLOCK | ハーフマレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★☆ | — | ★★☆☆☆ | — | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | BIG SEVEN TOE UP | ハーフマレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★☆ | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ¥20,889 | ¥22,000 |
| Stroke Lab Black | TEN Tour Lined | マレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | — | ¥28,600 |
| Stroke Lab Black | TEN Short Sightline | マレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | — | ¥28,600 |
| Stroke Lab Black | TEN S Tour Lined | マレット | ショートスラント | クォーター | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | — | ¥28,600 |
| Stroke Lab Black | TEN S Short Sightline | マレット | ショートスラント | クォーター | ★★★★☆ | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ¥20,880 | ¥28,600 |
| Triple Track | TEN | マレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | ¥14,899 | ¥28,600 |
| Triple Track | TEN S | マレット | ショートスラント | クォーター | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ¥15,600 | ¥28,600 |
| Triple Track | DOUBLE WIDE | ブレード | ダブルベンド | フェースバランス | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ¥14,840 | ¥22,000 |
| Triple Track | DOUBLE WIDE FLOW | ブレード | ショートスラント | ハーフ | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ¥14,885 | ¥22,000 |
| Triple Track | MARXMAN | マレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | ¥14,750 | ¥22,000 |
| Triple Track | 2-BALL | マレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ¥15,880 | ¥22,000 |
| Triple Track | 2-BALL BLADE | ブレード | プラマー | フル | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ¥13,880 | ¥22,000 |
| Triple Track | SEVEN | ハーフマレット | ダブルベンド | フェースバランス | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ¥16,880 | ¥22,000 |
| Triple Track | SEVEN S | ハーフマレット | ショートスラント | クォーター | ★★★☆☆ | — | ★★★☆☆ | — | ¥22,000 |
表から読み取れること
まず新品定価が2段しかありません。TEN 系の6本が定価¥28,600で、残る18本はすべて定価¥22,000。この年は新品の時点でも価格で選ぶ余地が乏しかったわけです。
そして中古のほうは、もっと極端でした。寛容性★5のモデルと寛容性★1のモデルが、中古では同じ価格帯に混ざっています。表の中古欄を上から下まで眺めてもらうと分かりますが、大型マレットもブレードも、値が付いているものはほとんど同じ水準に並んでいて、上下の差がほぼ出ていません。新品定価で¥6,600の差がついていた TEN 系ですら、中古の棚では他と横並びの位置にいます。
つまり2020年は「価格差が選択の根拠にならない年」です。どれを選んでも中古の出費はほぼ変わらないのだから、迷う軸を価格に置いても答えが出ません。だからこの記事では、価格ではなく形状とトーハング、そして次に説明する状態を判断軸に置いています。
コスパ★についても一言だけ。この指標は中古価格と値落ちの小ささから機械的に決まるもので、★1は「割高」という意味ではありません。表の中でコスパ★が上下しているのも、上で書いたとおり中古価格そのものに大きな差が無い以上、モデルの優劣を表しているとは考えないでください。スコアの定義そのものは別ページで公開しています。
2020年の代表5本——寛容性★5から★1まで1段ずつ
ここまでの見方(形状で寛容性の上限が決まり、ネックで自分の軌道に合わせる)を踏まえて、代表5本を選びました。寛容性★5から★1まで1段ずつ下りる並びになっていて、形状もマレット・ハーフマレット・ブレードをまたいでいます。スコアと価格はDBの値をそのまま転記しています。推薦は2019年以降のモデルに限っています。
中古価格については、この記事を書くにあたって中古ショップ(ゴルフドゥ)の在庫を機械で調べました。結果は率直に書いておきます。24モデル・在庫153本を調べて、美品クラス(ABランク以上)の完品が棚にあったのは1モデル・1本だけでした。ですから以下5本の価格は、CランクやDランクを含む全ランクの完品在庫の中央値です。美品の相場ではありません。この点は各カードにも書いてあります。
寛容性★5の上限——大きいヘッドに2つの円と3本線(Triple Track 2-BALL)

Odyssey / Triple Track(2020年)
2-BALL
寛容性 ★★★★★ / コスパ ★★☆☆☆ / 操作性 ★☆☆☆☆
寛容性★5は、マレット × フェースバランスというDB上で最大値になる組み合わせから来ています。ヘッドが大きく慣性モーメントが最大で、なおかつダブルベンドネックでフェースの開閉が最小に抑えられているため、打点が芯を外しても顔の向きが残ります。操作性★1はその裏返しで、フェースを返して球筋を操るタイプではありません(寛容性と操作性は両立しないので、方向重視の人には気になりません)。この1本が2020年らしいのは、オデッセイの看板である2つの白い円に、この年の3本線が重なっているところです。狙いを合わせる手がかりが二重にあるので、構えたときに迷いが出にくい。アライメントの助けが欲しい人にとって、2020年でいちばん素直な選択肢だと思います。今回の実測では在庫6本の内訳がB1本・C2本・D3本で、美品クラスの完品はゼロ。上の相場は全ランクの完品中央値です。
大型ヘッドのまま「ややアーク」に寄せる(Triple Track TEN S)

Odyssey / Triple Track(2020年)
TEN S
寛容性 ★★★★☆ / コスパ ★★☆☆☆ / 操作性 ★★☆☆☆
ひとつ上の2-BALLと同じマレットですが、モデル名の「S」が示すとおりネックがショートスラントで、トーハングはクォーターです。フェースがわずかに開いて閉じるぶん、寛容性は★5から★4へ、操作性は★1から★2へ動きました。この1段の差が「S」の意味そのものです。内側から円を描くように振るタイプなら、フェースバランスの★5よりこちらのほうが噛み合うことがあります。TEN 系はこの年で唯一、新品定価が¥28,600に設定されていた上位ラインでもありました。ただし中古の棚では他のモデルと横並びの位置にいるので、いま買うなら定価差は判断材料になりません。見るべきは、大型ヘッドの安心感を保ったままアーク軌道に合わせられるという設計のほうです。今回の実測では在庫5本の内訳がC4本・D1本で、美品クラスの完品はゼロ。上の相場は全ランクの完品中央値です。
3軸がちょうど真ん中——迷ったときの基準機(Stroke Lab Black SEVEN S)

Odyssey / Stroke Lab Black(2020年)
SEVEN S
寛容性 ★★★☆☆ / コスパ ★★★☆☆ / 操作性 ★★★☆☆
寛容性★3・操作性★3という、まん中に立つ1本です。ハーフマレット × クォータートーハングという組み合わせから、寛容性も操作性も中間値が出ています。マレットは大きすぎる、ブレードは不安——という人の受け皿がハーフマレットで、そのなかでもフェースの開閉が「少し」ある側。名前の「S」はここでもショートスラントを指しています。仕上げはオールブラックで、トップに線がありません。アライメントの線があると逆に気が散るタイプなら、同じヘッドのTriple Track版ではなくこちらを選ぶ理由がはっきりあります(2つのラインでヘッドの設計自体は一致しているので、選ぶ基準は視界だけです)。自分がまっすぐ引くのかアークなのか決めきれていない段階なら、極端に振り切ったモデルより、この基準機から入って自分の傾向を確かめるほうが遠回りが少ないと思います。今回の実測では在庫3本の内訳がC2本・D1本で、美品クラスの完品はゼロ。上の相場は全ランクの完品中央値で、在庫の少なさからしても状態は選びにくい1本です。
ブレードでも方向に強い側(Stroke Lab Black DOUBLE WIDE)

Odyssey / Stroke Lab Black(2020年)
DOUBLE WIDE
寛容性 ★★☆☆☆ / コスパ ★★☆☆☆ / 操作性 ★★☆☆☆
分類はブレードですが、ダブルベンドネックでトーハングはフェースバランス。だから寛容性★2・操作性★2と、ブレードのなかでは方向性寄りに振れた位置にあります。この記事の5本目に出てくるブレード × フルトーハングの★1/★5とは、同じブレードでも別物だと考えてください。ブレードの構えやすさとヘッドの小ささは好きだけれど、フェースが返りすぎるのは避けたい——という人のための組み合わせです。「ダブルワイド」の名前どおり、トップライン側に幅を持たせて見た目の安定感を出しているのも、この位置づけと噛み合っています。この年は同じ DOUBLE WIDE が Triple Track 側にもあり、DB上のスペックは一致しています。3本線が欲しいかどうかだけで選び分けてください。今回の実測では在庫14本の内訳がB1本・C7本・D6本で、美品クラスの完品はゼロ。上の相場は全ランクの完品中央値ですが、在庫数そのものは5本のなかで最も多く、状態を見比べて選ぶ余地はあるほうです。
操作性★5の対極——球筋を自分で作る(Stroke Lab Black ONE)

Odyssey / Stroke Lab Black(2020年)
ONE
寛容性 ★☆☆☆☆ / コスパ ★★★☆☆ / 操作性 ★★★★★
ここまでの4本とちょうど正反対に立つ1本です。操作性★5は、ブレード × フルトーハングという組み合わせによるもの——ヘッドが小さく、プラマーネックでフェースが大きく開いて閉じるので、球筋を自分で作りにいけます。裏返しに寛容性は★1で、打点が芯を外したときの寛容さは大型マレットに遠く及びません。寛容性と操作性は両立しないというトレードオフが、同じ年・同じシリーズのなかでここまで分かれるのが2020年です。名前が示すとおりオデッセイのアンサー型を素直に踏襲した形で、いわゆる「昔からある形」で振りたい人の入口になります。仕上げはオールブラック、トップに線はありません。今回の実測では在庫8本の内訳がC4本・D4本で、美品クラスの完品はゼロ。上の相場は全ランクの完品中央値です。
6年落ちを買うときに見るのは、値段ではなく状態
この記事でいちばん伝えたいのはここです。今回、2020年の24モデルについて中古ショップの在庫を機械で調べたところ、合計153本の在庫がありました。品薄ではありません。1モデルあたり数本から十数本、棚に並んでいます。
ところが、そのなかで美品クラス(ABランク以上)の完品があったのは、R-LINE ARROW というモデルの1本だけでした。残りはすべてCランクとDランクが中心です。在庫はあるのに状態の良い個体が無い——これは「流通が少ない」のとはまったく別の話で、2020年モデルが中古の主戦場を一巡し、きれいな個体から先に出ていった後の状態だと考えるのが自然です。
ここに、上で見た「価格差が付いていない」という事実が重なります。どれを買っても出費がほぼ同じで、しかも状態にはばらつきがある。だとすれば、比べるべきは値札ではありません。
私が中古の個体を見るときの順番(個人の感想)
私が中古のパターを見るときは、順番を決めています。まずフェース面。打痕やインサートの荒れは、打感と初速にそのまま出ます。ソールの擦れは後回しでかまいません——地面に当たる場所なので、転がりには関わらないからです。見た目の傷に引っ張られて、肝心のフェースを見落とすほうがもったいない。
次にシャフトの長さ。私は34インチでないと選びません。この記事の24本のうち22本は34インチですが、DOUBLE WIDE ARMLOCK と BIG SEVEN ARMLOCK の2本だけは39インチで、腕に沿わせて構えるアームロック専用の長さです。同じ年の同じシリーズだからと油断すると、まったく違う構え方の道具を買うことになります。
あとはヘッドカバーは期待しないこと。後から買うと高くつくので、付いていればラッキーくらいに考えたほうが探しやすくなります。フリマアプリで買うなら、出品者がショップか個人か・写真の枚数・説明文の日本語・評価まで見て、偽物のリスクを先に潰しておくのが先決です。
※あくまで私個人の基準で、統計ではありません。ただ2020年に関しては「価格差より状態ランクの差のほうが後悔に効く」——今回の実測を見るかぎり、そう言い切ってよさそうです。中古の見方そのものは、Stroke Lab 世代をまとめた記事でも扱っています。
中古の値が「—」になっている6本について
早見表で中古欄が「—」になっているのは6本です。理由は2種類あり、混ぜないように書いておきます。
- 中古ショップのカタログでモデル名を同定できなかった3本(BIG SEVEN ARMLOCK/TEN Tour Lined/TEN S Tour Lined)。サイトライン違いのバリアント名がショップ側の表記に見当たらず、在庫があるのかどうかも確認できていません。「売っていない」という意味ではありません。
- 在庫は見つかったが件数が足りなかった3本(DOUBLE WIDE ARMLOCK/TEN Short Sightline/Triple Track SEVEN S)。当サイトは中央値を出すのに完品3本以上を条件にしていて、この3本はそこに届きませんでした。1本や2本の値をそのまま相場として出すと、たまたまの1本に読者を引っ張ってしまいます。
どちらも「値を作らずに空欄にする」という判断です。数字が入っていないことにも情報がある——そう読んでいただければと思います。
まとめ——2020年は「3本線が要るか」で半分決まる年
2020年のオデッセイを整理すると、3点に集約できます。①ラインは Stroke Lab Black と Triple Track の2つだけで、インサートもシャフトも共通。違いはオールブラック仕上げか3本線アライメントかという、構えたときの視界の差でした。②同じ名前のヘッドが6組、両ラインに並走していて、形状・ネック・トーハング・寛容性・操作性がDB上で一致します。だから2020年の選択は、まず「3本線が要るか要らないか」を決めるところから始められます。③そのうえで形状とトーハングで自分の軌道に合わせ、最後に状態ランクを見る。この年は価格に差が付いていないぶん、状態を見る目がそのまま満足度になります。
最後にひとつだけ、私の失敗も添えておきます。
私は以前、発売したばかりの TRI-BEAM Double Wide を新品で買って、実戦で合わずに手放したことがあります。※これは2023年のモデルで、この記事に出てくる2020年の DOUBLE WIDE とは名前が似ているだけの別物です。中古棚で「ダブルワイド」を探すときは、年式まで確認してください。そのとき学んだのは、最新作を新品で買うより、値がこなれてから自分に合うかを確かめたほうが、私の場合は失敗が少ないということでした。※これも私1人の例です。
前後の年もまとめてあります。1年後の2021年は White Hot OG が復活した年、2年後の2022年は ELEVEN が入ってきた年。オデッセイ全体をどう選ぶかは、ブランドの選び方ガイドにまとめてあります。自分がまっすぐ引くタイプかアークかが分からない場合は、5つの質問に答える診断ツールが近道です。
⚠️ 3軸スコアは、ヘッド形状やトーハングから決まる設計上の指標です。実際の打感・構えやすさ・転がりの相性は人によって異なります。候補をしぼり込んだら、最終的にはゴルフショップの試打やフィッティングで、自分の手とストロークで確かめてください。データは遠回りを減らす地図であって、最後の1本を決めるのはあなた自身です。
ベストスコア86、アベレージ100のアマチュアゴルファー。
身長177cm、体重78kg前後の中肉中背40代ゴルファーです。
2020年にゴルフ開始。
2022年から本格的に練習をするようになったがなかなか上達せずに120前後から変わらず。
試行錯誤しながら、少しずつ上達中。
関東のゴルフ場がメインの月1~2ゴルファーです。












