中古サイトの一覧をスクロールしながら、写真の中の丸っこいヘッドを見て「これはマレットだから、フェースバランスだろう」と当たりを付ける。私も長いことそうしていました。届いた1本を構えてみて、思っていたのと違うフィーリングだったときの、あのなんとも言えない気持ち。当サイトのパターDBで数えてみたら、この見分け方は4割外れていました。
この記事でわかること
- 「マレットだからフェースバランス」は当サイトのDB342本で60.2%しか当たらない
- ブレードはもっと当たらない。フェースバランスは26.7%で、いちばん多いのはハーフトーハング
- 逆に「フェースバランスが欲しいからマレットを探す」も、6本に1本を取りこぼす
- 写真で見るべきはヘッドではなくシャフトの付け根。ダブルベンドとセンターシャフトなら99%以上読める
- ただし読めるのは「フェースバランスかどうか」まで。どれくらいトーが垂れるかは付け根でも読めない
中古サイトの写真で「これはマレットだから大丈夫」と決めた、あの瞬間
パターを中古で探すとき、私たちが持っている情報はほとんど写真だけです。商品ページに書いてあるのはブランドとモデル名と長さくらいで、トーハング(ストローク中にフェースが開いて閉じる度合い)が書かれている中古ページはほとんどありません。だから写真を見て、形から推測するしかない。
形は写真で分かる。トーハングは写真で分からない
ヘッドが大きくて丸い、あるいは四角い——マレットだ。細長い薄い形——ブレードだ。ここまでは写真で判断できます。問題はその次で、「マレットならフェースバランス(構えたときフェースが真上を向く設計)」「ブレードならトーが垂れる」という読み替えを、多くの人が無意識にしていることです。
この読み替えが当たるのかどうかを、当サイトのパターDBに登録している全モデルで数えました。ヘッド形状とトーハングは全モデルで登録済みなので、機械的に突き合わせるだけです。結果は、期待していたよりもかなり低いものでした。
パターの形そのものの違いについては、こちらの記事で先に整理しています。
「マレットだからフェースバランス」は、342本中6割しか当たらなかった
まず結論の表からお見せします。当サイトのDBに入っているパターを形ごとに分け、そのうち何本がフェースバランスだったかを数えたものです。

| ヘッドの形 | 本数 | うちフェースバランス | 当たり率 | いちばん多いトーハング |
|---|---|---|---|---|
| マレット | 181本 | 109本 | 60.2% | フェースバランス(60.2%) |
| ハーフマレット | 60本 | 36本 | 60.0% | フェースバランス(60.0%) |
| ブレード | 101本 | 27本 | 26.7% | ハーフ(38.6%) |
マレットの4割はフェースバランスではない
マレット181本のうち、フェースバランスは109本。残りの72本はフェースバランスではありません。内訳はクォーターが58本、ハーフが13本、フルが1本です。つまりマレットを5本並べたら、そのうち2本は「思ったより開いて閉じる」1本ということになります。
ハーフマレットも同じでした。60本中36本で60.0%。形が中間だから読みやすい、ということもありません。
ブレードはもっと当たらない。最頻はフェースバランスですらない
ブレード101本のうち、フェースバランスは27本で26.7%。いちばん多いのはハーフトーハングの39本(38.6%)でした。「ブレードならトーが垂れる」という読み替えのほうも、当たっているとは言いにくい数字です。垂れ方の度合いまで含めると、クォーター19本・フル16本と、実際には4種類に散っています。
ブレードそのものの選び方は別記事にまとめてあります。
ブレードなのにフェースバランス、が27本ある
この27本が、写真での判断がいちばん外れる群です。細長い薄いヘッドなのに、構えるとフェースは真上を向く。27本の付け根を調べると、ダブルベンド17本・センターシャフト9本・プラマー1本でした。ヘッドではなくシャフトの付き方でフェースバランスになっているわけです。この記事の後半で紹介するカードの1枚目と2枚目が、まさにこの群から選んだものです。
逆から探しても同じでした——フェースバランスの6本に1本はブレード
「フェースバランスが欲しいから、マレットの棚を見る」という探し方はどうでしょうか。当サイトのDBにあるフェースバランス172本の内訳は、マレット109本(63.4%)・ハーフマレット36本(20.9%)・ブレード27本(15.7%)でした。
マレットだけを見ていると、3本に1本以上を最初から視界に入れていないことになります。しかも取りこぼしているのは、値ごなれした中古が見つかりやすいブレード側です。形から入る探し方は、当たらないだけでなく、候補も狭めていました。
見るべきはヘッドではなく、シャフトの付け根
では写真の何を見ればいいのか。答えはシャフトがヘッドに入っていく付け根の部分(ネック)です。ここは中古サイトの写真にもたいてい写っています。同じDBをネックごとに数え直すと、形とはまったく違う数字が出ました。

| シャフトの付け根 | 本数 | うちフェースバランス | 写真から読めるか |
|---|---|---|---|
| センターシャフト(真ん中に刺さる) | 49本 | 49本=100.0% | 読める |
| ダブルベンド(首が2回曲がる) | 104本 | 103本=99.0% | 読める |
| クランクホーゼル(斜めに1回折れる) | 96本 | 15本=15.6% | ほぼフェースバランスではない |
| ショートスラント(斜めに短く入る) | 60本 | 0本=0.0% | ほぼフェースバランスではない |
| プラマー(L字に段が付く) | 22本 | 1本=4.5% | ほぼフェースバランスではない |
センターシャフトは100.0%、ダブルベンドは例外が1本だけ
センターシャフト49本は1本の例外もなくフェースバランスでした。ダブルベンド104本のうちフェースバランスでなかったのは1本だけで、99.0%です。この2種類を合わせた153本で見ると152本がフェースバランス——付け根を見れば、ほぼ間違いなく判定できます。
逆側も同じくらいはっきりしていました。ショートスラント60本にはフェースバランスが1本もありません。プラマーは22本中1本、クランクホーゼルは96本中15本です。この3種類が写っていたら、フェースバランスではないと考えて先に進んでよいということになります。
「フェースバランスかどうか」の二択に絞って、判定の当たり率を計算するとこうなります。形で判定すると342本中219本で64.0%、付け根で判定すると321本で93.9%。見る場所を1つ変えるだけで、当たり率が3割上がる計算です。
センターシャフトについては、そもそも自分に合うのかどうかを含めてこちらにまとめています。
ただし「どれくらい垂れるか」は、付け根でも読めない
ここを一方向の話にはしません。付け根で読めるのは「フェースバランスかどうか」までです。
フェースバランスではない側の中身を見ると、クランクホーゼル96本はクォーター53本・ハーフ24本・フル4本に割れています。ショートスラント60本もクォーター34本・ハーフ25本・フル1本です。4つのうちどれかを言い当てようとすると、付け根でも4本に1本は外します(DB全体で75.7%)。ちなみに形で同じことをすると53.8%です。
「アークを描いて打つから、トーが垂れるモデルが欲しい」というところまで来ている方は、付け根の種類だけでは足りません。ネック別の性格はこちらに詳しく書いています。
写真で付け根を見分ける手順
実際に中古サイトの写真を見るときの手順は3つです。
- ヘッドを真横から写した写真を探す。真上からの写真だけでは付け根の曲がり方が分かりません。商品ページに真横のカットが無ければ、モデル名でメーカーの製品ページを検索します。
- シャフトがヘッドのどこに入っているかを見る。ヘッドの真ん中あたりから生えていればセンターシャフトで、ここで判定は終わりです。
- 端に入っている場合は、曲がり方の回数を数える。手元から見て2回折れてヘッドの手前に垂直に降りていればダブルベンド。斜めのまま1回でヘッドに入っていればスラントかクランクです。
この3つで分かるのは「フェースバランスか、そうでないか」だけです。それでも、写真だけで判断している状態からは大きく前に進みます。
代表5本——「形からは読めない」を実物で確かめる
ここからは、当サイトのDBから5本を挙げます。並び順は3軸スコアの高い順ではなく、「形からいちばん読めない」側からにしました。この記事の主題が優劣ではなく「見た目と中身がずれる」ことだからです。スコアはDBの値をそのまま表示しています。
また、中古の相場を載せているカードは2本だけです。当サイトが読者に約束している出し方(日本の中古ショップの在庫を実測して中央値を出す)を満たしていないものは載せていません。流通していないという意味ではなく、確かめられていないという意味です。3軸スコアの計算方法は方法論のページで全部公開しています。

Odyssey / White Hot OG(2021年)
2-Ball Blade Stroke Lab
寛容性 ★★☆☆☆ / コスパ ★★☆☆☆ / 操作性 ★★☆☆☆
この記事のいちばん短い証拠がこの1本です。型名に「Blade」と入っているのに、トーハングはフェースバランス。理由は付け根で、ネックはダブルベンドです。シャフトが2回折れてヘッドの手前に降りるので、ストローク中のフェースの開閉が最小になります。寛容性★2はブレード × フェースバランスの組み合わせから決まる点数で、開閉が小さくてもヘッドが小さいぶん慣性が稼げず、マレットの★5には届きません。操作性★2も同じ理由です。寛容性と操作性の両方が★2という、当サイトの採点では中間に落ち着く性格になります。DB上の初心者向き判定はTRUE、長さは34インチ。中古相場は当サイトの手順で確かめられていないため載せていません(流通していないという意味ではありません)。

Odyssey / TRI-BEAM(2023年)
#1 CS
寛容性 ★★☆☆☆ / コスパ ★☆☆☆☆ / 操作性 ★★☆☆☆
同じ「ブレードなのにフェースバランス」でも、理由がもう一方の側の1本です。ネックはセンターシャフトで、シャフトがヘッドの真ん中から生えています。当サイトのDBではセンターシャフトの49本すべてがフェースバランスで、例外がありません。写真で真ん中から生えているのが見えた時点で、判定は終わりということです。型名の末尾の「CS」はこの付け根を指しています。寛容性★2・操作性★2は1枚目と同じくブレード × フェースバランスから決まる点数で、付け根の種類が違っても、形とトーハングが同じならスコアは同じになります。コスパ★1は現行世代に近い新しいモデルだからで、性能が低いという意味ではありません。DB上の初心者向き判定はTRUE、長さは34インチ。中古相場は当サイトの手順で確かめられていないため載せていません。

Odyssey / Stroke Lab(2019年)
TUTTLE FLOW
寛容性 ★★★★☆ / コスパ ★★★☆☆ / 操作性 ★★☆☆☆
ここからは反対側、マレットなのにフェースバランスではない72本の代表です。付け根はショートスラントで、シャフトが斜めのままヒール寄りに入ります。当サイトのDBではショートスラント60本にフェースバランスが1本もなく、この1本もクォータートーハングでした。寛容性★4はマレット × クォーターの組み合わせから決まる点数で、ヘッドが大きいぶん★4まで来ますが、開閉がある分だけ★5には届きません。操作性★2はその裏返しです。写真で丸いヘッドを見て「フェースバランスだろう」と決めると、いちばん外すのがこのタイプになります。DB上の初心者向き判定はFALSE、長さは34インチ。中古相場は上位ランクの美品が在庫になく、当サイトのB例外(全ランクの完品7本の中央値)で出した値です。美品の値段ではありませんので、状態は現物で確かめてください。

PING / 2021(2021年)
Harwood
寛容性 ★★★★☆ / コスパ ★☆☆☆☆ / 操作性 ★★☆☆☆
ブランドを替えても同じでした。マレットで、フェースバランスではない1本です。付け根はクランクホーゼルで、シャフトが斜めに1回折れてヘッドの端に入ります。当サイトのDBではクランクホーゼル96本のうちフェースバランスは15本だけで、多数派はクォーターでした。寛容性★4・操作性★2は3枚目と同じくマレット × クォーターから決まる点数で、ブランドが違ってもこの組み合わせなら同じ点になります。PINGはOdysseyに比べてモデル数を絞る設計思想ですが、付け根と中身の関係はメーカーをまたいでも変わりません。コスパ★1は新品定価に対して中古の値下がりが小さいという採点結果です。DB上の初心者向き判定はTRUE、長さは34インチ。中古相場は上位ランクの美品が在庫になく、B例外(全ランクの完品21本の中央値)で出した値です。美品の値段ではありません。

Odyssey / White Hot OG(2021年)
#7S
寛容性 ★★★☆☆ / コスパ ★★☆☆☆ / 操作性 ★★★☆☆
最後は中間の形です。ハーフマレットは60本中36本がフェースバランスで60.0%——マレットとほぼ同じ当たり率でした。「形が中間だから読みやすい」ということはありません。この1本の付け根はショートスラントで、トーハングはクォーターです。寛容性★3・操作性★3はハーフマレット × クォーターから決まる点数で、当サイトの採点では珍しく3軸のうち2軸が真ん中に揃います。尖っていないぶん、寛容性に振るか操作性に振るかをまだ決めていない段階の1本としては候補になります。型名の末尾の「S」はスチールシャフト版を指すもので、付け根の種類とは関係がありません。DB上の初心者向き判定はFALSE、長さは34インチ。
私の場合は「見た目マレットっぽいブレード」でした
ここだけは私個人の話です(※筆者個人の感想・N=1)。私はマレットタイプがあまり得意ではなく、今も大きくてゴテゴテしたヘッドはうまく打てません。それでも100切りを達成したときに使っていたのは、2ボールのアライメントが付いた1本で、2年使いました。見た目はマレットっぽいのに、構えて振った感覚はブレードと大差なく、違和感なく移行できたのを覚えています。2ボールの線のおかげで、構えた瞬間の迷いが消えたのも大きかった。
当サイトのDBでその1本を引くと、ヘッド形状はブレード、トーハングはフェースバランス、付け根はダブルベンドでした。写真だけを見ていた当時の私は、この1本を正しく分類できていなかったわけです。数字を数えてみて、自分の感覚のほうが後から説明された気分になりました。
⚠️ 3軸スコアは、ヘッド形状とトーハングから決まる設計上の指標です。実際の打感・構えやすさ・転がりの相性は人によって異なります。また本記事の本数は、当サイトのDBに登録しているモデルの範囲で数えた結果であり、メーカーの全製品を網羅したものではありません。ネックとトーハングの区分も当サイトの定義です。候補をしぼり込んだら、最終的にはゴルフショップの試打やフィッティングで、自分の手とストロークで確かめてください。
まとめ:写真で見る場所を、1つだけ変える
当サイトのパターDBを数えて分かったことを整理します。
①形からトーハングは読めません。マレットでフェースバランスなのは60.2%、ハーフマレットは60.0%、ブレードは26.7%でした。逆から探しても、フェースバランス172本のうち27本はブレードです。形だけで判断すると、外すうえに候補も狭めます。
②見るべきはシャフトの付け根です。センターシャフトは100.0%、ダブルベンドは99.0%がフェースバランス。反対にショートスラントは0.0%、プラマーは4.5%、クランクホーゼルは15.6%でした。二択に絞った当たり率は、形の64.0%に対して付け根は93.9%です。
③ただし、読めるのはそこまでです。「どれくらいトーが垂れるか」までは付け根でも読めません(4種類の言い当てで75.7%)。アークの深さまで合わせにいく段階なら、ネックごとの性格を1つずつ見ていく必要があります。
中古サイトの写真を見るとき、ヘッドの形を見る癖を、シャフトの付け根を見る癖に変える。それだけで、届いてから「思っていたのと違う」となる確率はかなり下がります。
そもそも自分がフェースバランス側とトーハングのある側のどちらを選ぶべきか、というところで止まっている方は、当サイトの診断ツールで先に絞り込めます。方向が決まってしまえば、あとは写真で付け根を見るだけです。
ベストスコア86、アベレージ100のアマチュアゴルファー。
身長177cm、体重78kg前後の中肉中背40代ゴルファーです。
2020年にゴルフ開始。
2022年から本格的に練習をするようになったがなかなか上達せずに120前後から変わらず。
試行錯誤しながら、少しずつ上達中。
関東のゴルフ場がメインの月1~2ゴルファーです。





